「KIN1期成果発表会」開催レポート:こおりやまから社会を変える開拓者たちの挑戦(2026年3月14日)

「KIN1期成果発表会」開催レポート:こおりやまから社会を変える開拓者たちの挑戦(2026年3月14日)

社会課題解決をビジネスで解決する1期生が、半年間の成果を地元郡山で発表

2026年3月14日(土)、社会課題の解決と地域における新たな価値創出を担う起業家の育成を目的とした「KORIYAMA IMPACT STARTUP NEXT(以下、KIN)」プログラム1期の成果発表会を、郡山市中央公民館で開催しました。

本プログラムは、講義・メンタリング・実証支援を通じて、地域課題に根ざした事業創出を支援するものであり、約半年間の取り組みの成果として、本発表会が実施されました。当日は、採択者6組および郡山市主催の高校生向け探求プログラム優勝者による特別ピッチが行われ、地元企業・支援者を含む多様な関係者が参加しました。

冒頭には、ゲストである株式会社オリィ研究所 代表取締役社長CEOの笹山正浩氏、OWB株式会社 代表取締役 和田智行氏によるトークセッションが行われました。笹山氏は、遠隔操作型コミュニケーションロボット「OriHime」の事業展開について紹介し、外出困難者の就労や社会参加の機会を拡張する取り組みを説明しました。現在、全国で約2,000件の導入が進んでおり、接客やコミュニケーション業務などで活用されていることが報告されました。また、「孤独は誰にでも起こりうる課題であり、テクノロジーによって社会との接点を再設計することが重要」と述べました。

和田氏は、福島県南相馬市における事業創出の取り組みについて説明し、震災後の地域において生活インフラを自ら立ち上げてきた経験を共有しました。現在は約30の事業を展開しており、「2051年までに100の事業を創出する」という目標を掲げています。また、社会インパクトの指標として、移住者数や年齢構成、支援した起業家数などを用いていることが紹介され、現時点で約3,800人の移住者のうち約1,000人がUターンであること、直接支援した起業家が20代から50代までの約10名であることが示されました。加えて、地域においては試行錯誤を許容する文化や、多様な価値観の調整が重要である点についても言及がありました。

続くピッチセッションでは、採択者6組がそれぞれの事業構想と検証状況について発表しました。

横尾恵美氏(しゅふコミ)は、子育て中の女性のキャリア断絶という課題に対し、コミュニティを基盤とした実務経験の創出モデルを提案しました。子育てバイブルの制作やレビューサイトの運営などを通じて、参加者がスキルを実践的に習得できる仕組みを構築し、その成果を企業からの業務委託や人材紹介につなげる構想です。地方において実務経験の機会が限られる中、キャリア再構築の選択肢を広げる取り組みとして位置付けられています。

これに対し和田氏は、「コミュニティとしての価値をどのように事業として成立させるかが重要であり、企業との接点設計や収益モデルをより具体化する必要がある」とコメントしました。

高橋智樹氏(ふくしまワンダー株式会社)は、プレコンセプションケア(PCC)に関する企業向けプログラムを発表しました。職場における不妊治療や女性の健康課題に対する理解不足を背景に、組織診断、研修、相談窓口、関連プロダクト導入の4つを組み合わせたサービスを提案しました。企業における健康経営の一環として導入を促進することを目指しています。

笹山氏は、「個人の課題を企業の課題として扱う設計が重要であり、導入によって企業側にどのような価値が生まれるのかを明確に伝える必要がある」と指摘しました。

降矢和敏氏(有限会社降矢農園)は、高齢者の就労機会創出を目的としたワインブドウ栽培事業「JIBAA WINE COMMUNITY」を発表しました。65歳以上の高齢者を対象に、半日単位で働ける柔軟な就労環境を整備し、収入と社会参加の両立を図るモデルです。初年度は10名規模で開始し、将来的には50名規模まで拡大する計画が示されました。また、地域の飲食店やボランティアとの連携を通じたコミュニティ形成も視野に入れています。

和田氏は、「単なる労働機会ではなく、参加すること自体に意味や楽しさを感じられる設計が重要」と述べ、体験価値の設計の必要性を強調しました。

満井みさ子氏(ハーベストNEXT)は、仕事と介護の両立支援に関するワンストップサービス「きーぷ」を提案しました。介護が発生する前の段階から情報提供や相談支援を行い、従業員の離職防止と企業の生産性維持を図る仕組みです。月額200円程度の低価格で導入可能なモデルを想定し、中小企業への普及を見据えています。今後はモニター企業を募集し、サービスの検証と改善を進める予定です。

笹山氏は、「導入のしやすさは強みであるが、継続的に利用される仕組みをどのように設計するかが重要」とコメントしました。

安齋睦氏(HANANINGEN FUKUSHIMA)は、花や自然をテーマとした体験型プロジェクトを発表しました。期間限定の花屋や体験型スペースの企画・運営を通じて、花を日常に取り入れる文化の醸成を目指すとともに、地域における新たな交流機会の創出を図るものです。クリエイターや企業、行政との連携による展開も想定されています。笹山氏は、「人の行動は体験によって変化するため、どのような体験設計を行うかが重要」と評価し、継続的な参加を促す仕組みづくりの必要性に言及しました。

大川翔氏(FindValue株式会社)は、若者と地域、企業・自治体をつなぐプロジェクトプラットフォーム「じもるば」の構築を発表しました。福島県における若者の流出という課題に対し、地域に関わる機会を創出し、プロジェクト単位での参画を可能とする仕組みを提供します。企業や自治体と連携しながら複数のプロジェクトを推進し、関係人口の拡大と人材循環の促進を目指します。

和田氏は、「単発の取り組みではなく、継続的に人と機会が循環する構造として設計することが重要」とコメントしました。

本発表会を通じて、各事業に共通する論点として、早期の実証実験の重要性、関係者との連携強化、社会インパクトの測定手法の確立、そしてビジョンの継続的な言語化が挙げられました。また、地域においては、多様な価値観の調整やコミュニティ運営の在り方、人材確保の課題などについても具体的な議論が行われました。

郡山市は今後も、本プログラムを通じて社会起業家の育成・支援を継続し、実践の場の拡充に取り組んでまいります。また、行政・企業・教育機関等との連携を強化し、地域課題の解決に向けた新たな事業創出を推進していきます。

本成果発表会を契機として、参加者間のネットワークを活かした新たな連携や取り組みが生まれることが期待されます。郡山市は引き続き、多様な主体と協働しながら、持続可能な地域社会の実現を目指してまいります。

KIN1期生:左から大川翔さん、安齋睦さん、横尾恵美さん、満井みさ子さん、降矢和敏さん、高橋智樹さん

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